樋田 真さんとお会いして

本日、仕事の関係から、ファーストリテーリィングの前CIOだった樋田 真さんとお会いすることができ、直接、ファーストリテーリィング(以下FR)時代に行っていたグローバル展開を前提とした全社システム導入についてのお話を聞かせていただきました。


内容は、
Oracle Application Summit 2011 特別講演 : 小さなIT企業運営記
の内容だったので、中身については割愛。


一番衝撃を受けたのが、FRのプロパーのシステム部門の人間が数十人しかおらず、このグローバル展開の対応については、もっと少ない人数で行っていたとのことです。
(例えば、プロパーの人間は会計領域は3人、人事領域は2人という人数だとか。プロジェクト全体の人間は、もちろんこんな人数ではない)
また、それを2年足らずで行ったというのにもビックリ。


自分も今、仕事で似たような業務に携わっているけど、対応人数、スピード感の違いに唖然としたというのが、正直な感想。


FRがなぜ、こんな短期間・少人数で行えたのかをちょっと考えてみた。

  1. システム部門だけではなく、グローバルの組織そのものを改革した
  2. 全社員に「グローバルワン(全員経営)」という理念の浸透を図った(これは随時継続)
  3. 全体CIO、エリアCIOを置き、責任の所在を明確にした
  4. 全体CIOが経営の重要なポジションとなっている
  5. 協力会社さんと強力なタッグを組み、新しいサービスを開発してもらった
  6. 既存のIT資産が少なかった(これは、完全に想像)

といったところが、FRがグローバルでの全社システム導入が成功した一因ではないかと思う。


上記の中で、一番効いていると個人的に思うのは、4.の「CIOが経営の重要なポジションになっている」だと思う。
FRの事例では、CIOだった樋田さんが、経営トップの柳井さんに重要性を理解してもらい、役員会議で、全役員に対して言質をもらって、完全にトップダウンで進めることが出来たとのこと。


こうしないと、グローバルという大きな視点の業務改革を行うにあたっては、「総論賛成・各論反対」ということになるので、経営トップからのトップダウンで行って成功できたというのはやっぱりなぁという思いがある。


5.についても目からうろこだった。
開発ベンダーのサービスを利用するのではなく、サービスを作ってもらうという考え方は、今までの自分にはなかったので、いい勉強になった。
あるベンダーのクラウドサービスも、FRのこの案件が元に開発されたそうです。


また、今回のFRの事例はクラウドをベースに構築されているので、セキュリティについての考え方についても質問したところ、経営会議でも同様の心配の声があったそうですが
「私たちの本業はなんですか? もちは餅屋ですよ。もし、自前でITベンダーのデータセンターと同様のセキュリティが欲しいのであれば、それなりのお金が必要です」
という内容の事を言って説得したとのこと。
これは、非常に説得力があると個人的に感じたが、逆に、ユーザー企業のシステム部門の人間の役割について大きく再考させられる言葉でもあると思う。


今日のお話は、個人的にショックを受けたのは間違いないが、それでもシステム部門の経営と一体となってFRクラスの改革を行うことが出来るので、自分たちも(相当)頑張れば出来なくは無いという気づきにもなり、非常に有意義でした。